2021年の大相撲を占う その3

・照ノ富士の大関獲り

 11月場所で小結という地位で13勝2敗の好成績だったので1月場所で13勝以上を挙げれば場所後の大関復帰の可能性が高くなった。また13勝以上でなくても2桁勝利を挙げれば3月場所につながる。相撲内容を見ても安定感があり、大関復帰の可能性はかなり高い。

 膝の大怪我から復活してきたが、以前は多かった抱え込む相撲がほとんどなくなった。そして前に出て勝つ相撲が増えた。膝の負担を軽くするという意味でもいいことである。それだけではない。右四つが得意だが、その技量が一段と上がっている。おそらく膝のケアと並行して右四つの相撲を研究していたのだと思う。以前は四つに組み止めるだけだった。しかし今は右で前廻しを取って相手の差し手を殺したり、四つに組む中で相手の下手を切るようになった。技量だけでなく、考えた取り口も評価できる。何より去年優勝した7月場所と11月場所で技能賞を受賞しているのがその証である。

 不安な点を挙げればやはり膝の状態である。完治したわけではないのでいつ膝の痛みが再発してもおかしくない状況である。また11月場所は優勝決定戦まで持ち込んだが決定戦では敗れた。やはり今の膝の状態では1日に2番取るのは少し厳しいかもしれない。それでも本人がそのことを自覚し、危機感を持って一つでも上の地位を目指そうという意欲は好感が持てる。力量に関しては元大関であり、今いる3大関とほぼ変わらないと思うので、あとは膝の状態一つである。体調さえよければ大関復帰後、一気に横綱昇進へ・・・という可能性もあるので今後も注目したい。