2024年5月場所個別評価 朝乃山

 今場所は全休した。4月25日に行われた木更津巡業での稽古で右膝を痛め、病院で検査を受けた結果「右側内側側副靭帯損傷のため全治3週間」と診断された。1週間は患部をギプスで固定しており、重症である。また膝の怪我は初めてであり、本人もショックだったものと思われる。

 これで直近1年間では4度目の休場となった。おそらく大関復帰を目指して頑張っていたのだろうが、最近は度々怪我に見舞われており、体調面を心配していた。そして膝の負傷である。体が言うことを聞かなくなってきた結果と考えるのが自然である。

 救いは自ら休場を決断したことである。場所前は「出たい気持ちはあるが、体が『出るな』と言っている」と心境を述べており、体の声に従ったということである。賢明な判断であり、この決断に私は賛成である。また最近は周囲の期待もあり、ある意味では精神的に追い詰められての土俵が続いていた。怪我が原因だが、一旦リセットするという意味合いもあり、タイミングとしても悪くない。本人が言うように、7月場所に向けて万全な体調で備えるということだと思う。

 場所後は元幕内石浦の間垣親方の引退相撲に参加し、取組も行った。まだ相撲は取っていないものの、四股などの基礎運動は違和感なく行えているようである。そして「出るからには優勝を目指していかないと」と完全復活を誓った。

 7月場所は平幕下位に番付を下げるが優勝を目指したい。また初日から白星を並べ、後半戦に大の里と対戦できるような流れに持って行きたいところだ。馬力は上位力士相手でも通用しており、幕内での琴櫻との対戦成績は2戦2勝である。よって優勝しても全く驚けない。あとは7月場所に向けて万全の体調で迎えることをファンとして臨んでいる。