2024年5月場所個別評価 霧島

 今場所は二度目のカド番となったが1勝6敗8休という成績に終わり、来場所は関脇に陥落することとなった。大関陥落に関しては、6場所での陥落は御嶽海、大受に次ぐワースト3位であり、モンゴル出身力士に関しては照ノ富士以来二人目となった。

 内容に関しては首痛が原因で頭から当たれておらず、自分の相撲が全く取れていなかった。一言でいえば論外であり、評価するに値しない。それくらいの内容だった。

 さて霧島といえば3月場所限りで師匠だった元大関霧島の陸奥親方が停年となり、部屋が閉鎖されたため、師匠ともども音羽山部屋へ移籍した。そして音羽山親方は元横綱鶴竜であり、部屋を興す前までは陸奥部屋所属であり、霧島の事がよく分かっている。師匠は霧島について「首を痛めたことが響いて、負けていって、じわじわメンタルをやられて、自信を持てなくなっていったのでは」と分析する。

 また要因は他にもあった。首に不安を抱えながら、筋力トレーニングでパワーアップをもくろんでいたようである。しかし万全ではない中で進化を求めたことが凶と出た。本来の動きのある反応のいい相撲が取れておらず、左右の動きが鈍くなっていた。私は首の状態だけしか見ておらず、左右の動きまでは見ていなかった。さすがは師匠である。指摘が鋭い。休場後に以前と現在の取組を確認した本人も「全然違った」と衝撃を受けていたようである。

 よって師匠は復活のカギを原点回帰に求めている。そして土俵の中での稽古が一番であり、稽古をするだけでなく、相手に勝てないと思わせるような稽古が必要だとした。どうやら復活への糸口が見つかったようである。

 7月場所は10番以上勝てば大関に復帰できる。しかし10番勝つこと自体簡単ではなく、今場所の相撲を観た限りでは厳しいと言わざるを得ない。10番勝てなくても勝ち越して関脇の地位を保つというのが現実的と言えそうだ。いずれにしても大関の座を取り戻す立場であり、師匠が言うように貴重な経験だと思って前向きに取り組むしかない。また良い師匠に恵まれた霧島は幸せ者である。少し先になるかもしれないが、今度は師匠を喜ばせるような活躍を期待したい。