2024年3月場所個別評価 霧島

 今場所は5勝10敗で負け越した。4連敗スタートとなり、前半戦は2勝6敗で折り返した。そして後半戦も巻き返せず、11日目に若元春に敗れ、早々と負け越しが決まった。それでも千秋楽は琴ノ若を上手投げで破り、大関として意地を見せた。そして取組後は「場所前に首を痛めてあまり稽古ができなかった」と明かした。今場所限りで師匠の陸奥親方が定年となり、陸奥部屋が閉鎖されることになった。また3月場所は大阪での年一回の場所であり、師匠とファンのために休場はせず、必死に頑張ったということだと思う。大関としての役割は果たせていないものの、こういった心構えで相撲を取る姿勢は個人的には嫌いではない。

 内容に関しては首痛により頭からぶつかっていく相撲がほとんど見られなかった。霧島は体が大きくないので頭から当たれないというのはそれだけで致命的である。結局立ち合いで当たり負けしているので土俵中央での攻防になっても攻めきれないといった相撲が多かった。立ち合いで頭から当たるのが身上であり、当たれなかったということで内容的には論外である。

 場所後の春巡業は休場していたが、4月11日から合流した。また3月28日に師匠だった陸奥親方とともに元横綱鶴竜が師匠を務める音羽山部屋に転属することが協会から発表された。音羽山親方は元逆鉾の死去に伴い陸奥部屋に移籍してきたが、霧島を強くした立役者とも言える存在である。霧島の転属先を心配していたが、今度は元鶴竜の下で相撲が取れるという点で少しホッとしている。また音羽山親方も霧島の長所と欠点を分かっており、霧島にとって心の支えとなりそうだ。

 5月場所は二度目のカド番となり、綱取りに向けても一から出直しとなった。首の状態さえ良くなればカド番脱出は問題ないと見ている。ただ首痛を公表しなければいけないレベルなので、一場所で回復することは考えにくい。現実的には横綱よりも大関としての役割を果たすことの方が大切である。よって5月場所は稽古を重ねた上で場所に臨み、二桁勝利を目標にして頑張って欲しい。