2024年3月場所個別評価 照ノ富士

 今場所は2勝5敗8休という成績に終わった。初日は錦木に敗れ、黒星スタートとなった。その後は連勝するも4日目以降はいずれも金星配給という形で3連敗してしまった。結局7日目に休場届を提出し、休場した。師匠の伊勢ヶ浜親方によると休場の主な要因は腰痛であり、力が出ないと言っていたようだ。休場は去年の11月場所以来20度目で、横綱在位16場所目で9度目となった。

 内容に関して稽古不足は明らかであり、初日から腰の位置が高かった。初日の錦木戦は得意の右四つに組み止めており、本来ならそのまま寄り切らなければいけないところである。しかし土俵際に寄ったところで腰の位置が高く、伸び切っていた。結局錦木に左上手を取られ、逆に寄り切られた。しかしここから徐々に調子を上げていきながら白星を重ねれば横綱としては全く問題ない。しかし調子が上向かないまま連敗し、休場に追い込まれた。

 理由の一つに1月場所千秋楽からの間隔が短かったことが挙げられる。力士は場所前の番付発表から次の場所に向けて本格的な稽古を始めるが、その間隔が4週間しかなかった。1月場所は決定戦の末に優勝を果たしており、疲れが溜まっていたのは想像できる。師匠によると腰の痛みで1月場所の時以上に稽古ができなかったようだ。簡単に言えば2場所続けて本場所で相撲を取るのは厳しいということである。

 一方で土俵入りに関しては大丈夫のようだ。よって3月31日から始まった春巡業には参加している。また腰の状態は病院通いもして何とか良くなっているようである。そして稽古は腰の様子を見ながらやっていくとのことである。まずは巡業でどれくらい稽古をできるかが5月場所に向けては鍵を握りそうである。

 来場所に関しては腰の状態が良くなるかどうかが全てだと思っている。去年は7月場所で途中休場した後2場所連続で全休しており、その流れでいけば休場しても決して驚けない。腰の痛みが原因で腰に力が入らない仕草を見せられると無理して欲しくないという気持ちもある。また1月場所は綱取りだった霧島は今場所は負け越しており、新横綱誕生はもう少し先のことになりそうである。状況を考えるともうしばらく一人横綱として踏ん張る必要がありそうだ。そしてできれば新横綱にバトンタッチしてから引退して欲しいというのが私の願いであり、考え方である。