2024年3月場所を振り返って 優勝争い 14日目 阿炎ー大の里戦 琴ノ若ー豊昇龍戦

 いずれにしても尊富士は自力で優勝を決められず、焦点は3敗の二人が勝てるかどうかに移った。大の里は阿炎戦が、そして豊昇龍は琴ノ若戦が組まれた。

 まずは阿炎と大の里の一番である。真っ先に感じたのは仕切りの時から大の里の雰囲気が違ったことである。尊富士が敗れ、優勝の可能性が出てきたことでやる気に満ち溢れていた。かといって気負いといったものも感じられない。ということで願望ではなく、大の里が勝つと見ていた。相撲は阿炎のもろ手を下から跳ね上げ、前に出てきたところを右へ動いて叩き込んだ。落ち着いた相撲内容で3敗を守った。これで14日目の尊富士の優勝はなくなり、千秋楽へ持ち越しとなった。

 そして琴ノ若と豊昇龍の取組である。相撲は立ち合いから豊昇龍が右へ動き、右上手を取った。しかし琴ノ若は全く動じなかった。豊昇龍が右上手投げに行くところを左を差して体を寄せ、寄り倒した。これで豊昇龍は4敗となり、優勝争いから脱落した。また立ち合いから右へ動き、何が何でも勝ちたいという姿勢が見えたものの作戦を相手に読まれてしまってはどうしようもない。結果的に独り相撲を取ってしまった印象である。また対琴ノ若戦は4連敗であり、内容的にも今後対策を練る必要がありそうだ。一方の琴ノ若は白星を二桁に乗せた。私的には新大関の場所での二桁勝利はよく頑張ったと思っている。

 14日目終了時点で2敗が尊富士、3敗が大の里であり、優勝争いは二人に絞られた。また尊富士は豪ノ山と、大の里は豊昇龍と対戦することが決まった。尊富士が勝てば優勝だが、勝てなくても大の里が敗れれば尊富士の優勝が決まる。大の里が優勝するためには本割で勝ち、決定戦で尊富士に勝つ必要がある。ただ尊富士は取組後病院に搬送されており、千秋楽に休場する可能性が出てきた。仮に休場した場合は尊富士は不戦敗となり、大の里が勝てば12勝3敗で並ぶことになる。そして決定戦は不戦勝で大の里の初優勝が決まる。しかし大の里が敗れれば尊富士が不在のまま偉業が達成される異様な千秋楽となる。ということでまずは尊富士が千秋楽に出場するかどうかが注目となった。また14日目終了後は怪我の続報は入ってこなかった。

続く