2024年3月場所を振り返って 優勝争い 前半戦

 初日から一横綱二大関が敗れ、2日目は三大関が敗れるなど序盤から荒れる春場所を予感させた。そして先場所優勝した照ノ富士は先場所は7日目に2敗目を喫したが今場所は4日目に2敗となり、苦しい状況となった。結局その後は連敗し、力が出ないということで7日目から休場となった。あとは霧島である。横綱に一番近いところにいる力士の4連敗スタートは驚きしかなかった。場所前の稽古不足は伝えられていたが、それにしてもという感じである。霧島も横綱同様挽回できず、11日目に早々と負け越しが決まった。5月場所は2回目のカド番となる。

 その他の三大関は前半戦は6勝2敗で折り返した。まずまずの成績だが、豊昇龍と琴ノ若はこれといって良くもなく、悪くもなくといった印象だった。またカド番の貴景勝は首を痛めており、何とか白星を伸ばしているといった感じだった。そして大関であり、後半戦は上位力士同士の星の潰し合いとなるため、優勝に向けてはこれ以上負けられず、厳しい状況になってきた。

 そして厳しくなってきた理由が大の里と尊富士の存在である。大の里は7日目は阿武咲に敗れたものの前半戦を7勝1敗で折り返した。入幕2場所目だが、番付が上がっても馬力で圧倒する相撲の取り口は相変わらずである。上位力士との対戦はなかったものの、内容的にも上位力士に勝てる相撲は取っており、後半戦に向けて期待が持てた。尊富士は新入幕であり、本来なら優勝争いに顔を出すような存在ではない。しかし立ち合いからの出足の速さで圧倒しており、先場所新入幕だった大の里同様、新入幕とは思えないレベルの相撲を取っていた。当然ながら審判部も相撲内容を見ており、二人を後半戦から上位力士に当てることを示唆していた。よって二人が役力士を相手にどういう相撲を取るかが私にとっては楽しみとなった。それと同時に優勝争いの焦点にもなった。

 8日目終了時点で全勝は尊富士一人であり、1敗は大の里一人となった。この二人を2敗で霧島を除く三大関と小結阿炎など7人が追いかける展開となった。

続く