2024年1月場所個別評価 大栄翔

 今場所は9勝6敗という成績だった。前半戦は番付が下の力士との対戦だったが6勝2敗で折り返した。しかし後半戦は大関獲りの琴ノ若、豊昇龍と霧島の両大関に3連敗し、優勝争いから脱落した。その後14日目に勝ち越しを決めたものの目標としていた二桁勝利には届かなかった。また照ノ富士戦は組まれなかった。

 内容に関しては前半戦は平幕力士との対戦が多かったこともあり、安定感のある突き押し相撲で白星を挙げていた。しかし後半戦は琴ノ若と二大関相手に連敗し、優勝争いに加われなかった。そして気になったのがその内容である。琴ノ若戦は突き押しを下からあてがわれ、ほとんど押し込めなかった。豊昇龍戦は押し込むも左を手繰られ、右上手を取られた時点で勝負が決まった。霧島戦は逆に押し込まれ、そのまま突き出された。いずれも見せ場もない内容の黒星だった。また三力士と力の差が広がったようにも見えた。前半戦の相撲を取ったものの、三人には通用しなかったという印象である。今場所は三人に負けても9勝を挙げており、勝ち越して関脇の座を保つ分には問題ない。しかし大関昇進に向けては場所後に大関に昇進した琴ノ若を含めて誰かに勝つ必要があり、厳しくなってきているのは否めない。年齢も連敗した三人より上であり、負かしに行くというよりも今の自分の相撲に徹するしかないのかもしれない。また押し切れずに引かれて負けた相撲もあり、馬力も以前ほどではなくなってきている。あとは本人が現状を踏まえてどう相撲を取るかといったところだと思う。

 しかし琴ノ若が大関に昇進したことで大関候補の筆頭であるのは確かである。また一場所ハイレベルな成績を残せば大関昇進の可能性が出てくるのも事実である。問題は絶好調の場所が来るか?。そしてその時に大関以上を倒せるかどうかである。厳しい状況ではあるが、関脇を務めている限りは大関は諦めてほしくない。やはり大関に向けては今年一杯がリミットだと私は考えている。

 3月場所は二桁勝利が目標となる。そのためには大関以上に勝つことが不可欠である。また若手力士が成長してきており、若手の挑戦を退けることも求められる。そして部屋は違うものの若元春と朝乃山は同学年である。大関獲りのライバルではあるのだが、境遇は似ており、力を合わせて上を目指した方がいいのかもしれない。