2023年11月場所個別評価 狼雅

 今場所は東前頭16枚目で新入幕の場所だったが5勝10敗という成績で11場所連続勝ち越しはならなかった。3連敗スタートとなったが4日目は自分の相撲で剣翔を寄り切り、初白星を挙げた。しかしその後も星は伸びず、前半戦を2勝6敗で折り返すと11日目は御嶽海に敗れ、早々と負け越しが決まった。新入幕4人のうち一番期待できる力士と見ていただけに負け越しは少し意外だった。

 さて狼雅の紹介をしたい。狼雅はロシア出身で二子山部屋所属であり、年齢は24歳である。ただし父親の希望で国籍はモンゴルである。身長185センチ、体重154キロであり、右四つ、寄りを得意としている。高校時代は豊昇龍に勝って高校横綱のタイトルを獲得しており、若手期待の力士の一人である。今場所は負け越したものの新十両昇進後は負け越しなしで番付を上げてきており、地力があるのは確かである。

 内容に関しては得意の右四つに組み止めても負ける相撲もあり、その点で物足りなさが残った。9日目の平戸海戦は立ち合いからすぐに左前廻しを取られたものの得意の左上手を取った。しかし左からの投げで上手を切られると最後は寄り倒された。14日目の佐田の海戦は立ち合いからすぐに左前廻しを取ったが一気に前に出たところを土俵際で左から突き落とされた。共通しているのはスピード負けしたという部分である。このあたりは十両では対応できても幕内では対応できなくなるといったところかもしれない。やはり幕内で勝ち越すというのは簡単ではない。

 1月場所は東十両3枚目となったが二桁勝利を期待したい。十両では負け越しはなかったものの二桁勝利を挙げられなかったのが新入幕まで一年かかった原因である。地力があるのは分かるが、一気に寄り切るような相撲は少なく、もう少し圧倒するような内容を私としては求めたい。師匠は幕内では160キロないと通用しないと話しているようだが、右四つの相撲以外にこれといった特徴はなく、強くなるためには増量が一番の近道である。目先ではなく、数年先を見据えての増量を期待したい。タイプ的には幕内定着には時間がかかるかもしれないが努力はできる力士であり、あとは本人がどう考えて稽古をするかというところだと思う。