祝! 新入幕美ノ海 最後に

 さてめでたく新入幕となったが目指すは勿論勝ち越しである。番付的には前半戦は番付が近い力士との対戦となり、後半戦は番付が上の力士との相撲となるのでできるだけ前半戦に白星を挙げたい。9月場所のような相撲を力を試すつもりで取ればいいと思う。新入幕での勝ち越しはなかなか大変だが頑張って欲しい。

 それでも30歳での新入幕ということで一区切りといった気持ちはあると思う。当然幕内を目指して相撲を取っていたはずだし、弟の木崎海が果たせなかったことを果たしたのは事実である。弟も喜んでいるのではないだろうか。そして九州場所ということで沖縄から近いのも本人にとっては非常に大きい。おそらく家族や友人、知人が観に来てくれるはずである。幕内の土俵が晴れの舞台となることは間違いない。

 九州場所は7日目終了時点で5勝2敗と好調である。4日目の錦富士戦で左の眉を負傷し、絆創膏を付けての土俵が続いている。内容も得意の左前廻しをが取れており、自分の相撲が取れている。本人はスタミナ面を気にしていたが、現時点では動き回るような相撲は取っておらず、その点は問題ないと思う。しかし勝ち越しに向けてはまだまだ気が抜けない。過去も新入幕の力士が前半戦は白星が先行するも後半戦は連敗し、負け越すといったことがよく見られる。また幕内で勝ち越すということは幕内力士に認められるということでもあり、この後は簡単には勝たせてくれないことは頭に入れておいて損はない。ただ星勘定を気にするのは良くないので自分の相撲を取ることに集中したい。それでも下に番付が一枚半残っており、幕内残留の可能性は高くなったと見て良さそうだ。

 身長177センチと決して体格には恵まれていないが、しぶとさと立ち回りの上手さは持っており、今場所も持ち味を発揮している。いつもは淡々と相撲を取っているイメージがあるが、今場所は新入幕ということで表情がいつもより厳しく、気合が入っているのがよくわかる。番付発表後の会見で目標は「後悔しない相撲。勝っても負けても、自分が納得して次の日を迎えること」と語っており、一番一番を大切に取って欲しい。本人だけでなく、十両で長らく取っていた力士の新入幕ということで私の気持ちも一区切りといったところである。

終わり