遅れて来た大物! 若元春 私が観た印象 その2

 しかし幕内昇進を決めた2021年11月場所あたりから相撲内容が変わってきた。左四つに組み止めて寄る相撲は変わらないが、一気に寄って勝負を付ける相撲が増えてきた。また相撲に厳しさが出てきた。翌2022年1月場所は新入幕の場所となったが今までの経緯もあり、私としては半信半疑といったところだった。しかしフタを開けてみれば9勝を挙げ、幕内でも通用することを証明した。

 そして同年7月場所である。初めての上位力士と対戦する番付であり、左四つの相撲が通じるか注目していた。すると大関正代には殊勲の星を挙げ、横綱照ノ富士戦も負けはしたものの二分を超える大相撲となった。ということで上位力士が相手でも十分取れることが分かった。どうやら2~3年前あたりから真面目に稽古に取り組むようになったようだ。その成果が今になって表れてきているということだと思う。

 左四つの相撲が通用するとなると当然相手に恐れられ、左四つに組ませない相撲が増えてくる。今度はそうなった時に対応できるかに注目していた。しかし今度は十両時代にはほとんど見せなかった押し相撲で対応しているではないか!。何という器用さ、そして相撲センスである。廻しを取れないと見るや押し相撲を取り、そのまま押し出す相撲もあった。左四つの相撲だけでなく、対応力の高さを見せつけた。あとは今場所が三役に上がってまだ3場所目であり、経験が浅い。ということで7月場所は大関獲りの場所ではあるものの、私的にはあと数場所かかってもいいのではないかと考えている。結局7月場所は9勝で終わり、大関獲りは成らなかった。しかしいずれは大関に上がれる力士である。

続く