2023年3月場所個別評価 大翔鵬
今場所は東前頭13枚目であり、4年ぶりの再入幕となったが8勝7敗で勝ち越した。3連勝スタートを切るなど好調であり、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は10日目から3連勝し、12日目に幕内では久々となる勝ち越しを決めた。
内容に関しては先場所に引き続き強烈な体当たりからの前に出る相撲で白星を挙げていた。そして前に出る圧力が強いので得意としている右四つの相撲にこだわる必要もない。押し出しで二番、極め出しで一番勝っているように構わず前に出る相撲が光った。
特に良かったのが10日目の錦富士戦と12日目の平戸海戦である。錦富士戦はかち上げで相手の上体を起こし、左上手は取れなかったものの相手を正面に置いて見ながら押し、そのまま押し出した。理想としてはこのような相撲が増えるのが一番である。平戸海戦は立ち合いで相手得意の左前廻しを取られた。しかし右下手を取り、左は抱えて守りの体勢は作った。頭を付けられ、苦しい体勢だったが相手が前に出たところで左上手を切った。そして最後は平戸海が左を巻き替えに来たところを一気に前に出て寄り切った。このように相手の廻しを切る技量を持っている。また先場所は元大関朝乃山に唯一の黒星を付けており、右四つの型は非常にいいものを持っている。
5月場所は西前頭11枚目となったが幕内定着ではなく、幕内上位をうかがいたいところだ。体の動きも良く、現在好調なのは間違いない。また部屋には大関を目指す大栄翔や翔猿などがおり、稽古環境には恵まれている。まだ才能を持て余している部分があり、私が観た限りではもっと上を目指せる力士である。今場所は8勝だったが5月場所は二桁勝つつもりで相撲を取って欲しい。
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