2023年1月場所個別評価 湘南乃海
今場所は新十両で東十両13枚目だったが12勝3敗の好成績だった。前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は12日目に元大関朝乃山には負けたものの、他は全て白星を並べ、12勝の大勝ちとなった。普通なら優勝できる成績だが、今場所は朝乃山と金峰山が圧倒的な内容の相撲を取っており、その点では不運だったと言える。
内容に関しては左四つの相撲と長身を活かした引き技で白星を挙げていた。湘南乃海は神奈川県出身で高田川部屋所属であり、年齢は24歳である。そして身長193センチ、体重184キロの堂々たる体格をしており、左四つ・寄りを得意としている。特に良かったのが13日目の大翔鵬戦である。大翔鵬は右四つが得意であり、けんか四つである。大翔鵬が立ち合いで右にずれ、右下手を取られ、相手得意の右四つとなった。しかし湘南乃海は右下手を取り、右からの投げで体を入れ替えると右の腰をぶつけるような形で寄り切った。やはり右からの投げは強い。そして左四つの型にこだわらず、柔軟な相撲が取れるのが湘南乃海の魅力である。
一方で課題もある。6日目の豪ノ山戦は立ち合いで当たり負けし、組めないまま一気に押し出された。また12日目の朝乃山戦は得意の左四つに組んだものの、左から投げを打たれた後右からおっつけられて寄り切られた。このように馬力勝負に持ち込まれると苦しくなる。十両なら今の相撲でも勝てると思うが、今後に向けては立ち合いや前に出る圧力を更に強くしたい。それでも前に出て勝とうという姿勢は見られ、そのあたりは幕下時代と比べれば意識が向上している。
3月場所は一気に番付が上がり、西十両3枚目となった。新入幕が見えてくる番付だがそこは意識せず、自分の相撲に徹して欲しい。十両上位だと対戦相手が強くなり、立ち合いの圧力に対応できるかが鍵を握りそうだ。また十両に留められたので朝乃山との対戦が観られそうである。今場所の結果を踏まえ、どういう相撲を取るかが楽しみである。新入幕に止まらず、更にその上を目指してほしい力士なので注目していきたい。
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