2023年1月場所個別評価 武将山

 今場所は西十両筆頭だったが9勝6敗で勝ち越した。前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は勝ち越しを前に連敗したが終盤は連勝し、9勝で場所を終えた。

 内容に関しては得意の押し相撲が取れており、立ち合いの角度にも安定感があった。武将山は身長171センチ、体重171キロで押しを得意としているが立ち合いの馬力があるタイプではない。しかし二の矢の攻めが速く、相手が対応できず、土俵を割るといった相撲が多かった。特に良かったのが7日目の宝富士戦と千秋楽の千代の国戦である。宝富士は幕内力士であり、幕内での土俵となったが相手を見ながらぶちかましと突き押しを繰り返した。宝富士は下からあてがっていたが引いたところでぶちかましを入れて一気に後退させ、最後は押し倒した。宝富士は10年にわたって幕内の地位を守っており、自身になったと思う。そして千代の国戦は予想通りというか激しい相撲となった。立ち合いから千代の国が右からかち上げた後は突き放し、顔に何発も張り手を入れた。武将山は我慢して下からあてがっていたが徐々に有利な体勢に持って行き、右ハズ押しから右を深く差すと土俵際に追い詰め、寄り切った。これで新入幕に向けて大きな9勝目となった。西筆頭であり、8勝止まりだと東に回されるだけで新入幕がお預けになる可能性も十分あったので非常に意味のある白星だった。

 3月場所は西前頭14枚目となり、新入幕となったが勝ち越しを期待したい。師匠の元大関武双山の藤島親方が言うように精神力が強くなっており、場所を通して自分の相撲が取れるようになってきている。幕内力士の立ち合いのスピードと圧力に対応できない可能性はあるが、今場所の宝富士のように当たりを受けてくれれば話は別である。繰り返しになるが二の矢の攻めは速いのでそういった形に持ち込めるかがポイントとなりそうだ。以前は引いて墓穴を掘る相撲も多かったが今はほとんどなくなっており、前に出る相撲に徹している。また手繰ったりいなしたり、そして差す相撲もあり、押し相撲でありながら相撲の幅が広がっている。相撲がどれだけ通用するか、非常に楽しみである。