今年の大関候補2023 琴ノ若

 1月場所が新三役であり、期待料込みといったところである。しかし体格に恵まれている上に父は元関脇琴ノ若、そして祖父は元横綱琴櫻というサラブレッドであり、期待しない訳にはいかない。

・去年1年に関して

 一昨年の9月場所で左膝を痛めた影響で平幕下位からのスタートとなった。そして2場所連続で11勝を挙げる活躍をし、5月場所からは平幕上位に定着。しかし勝ち越すものの三役の枠が空かず、三役になかなか上がれなかった。それでも11月場所は西前頭筆頭で9勝を挙げ、新三役昇進となった。豊昇龍同様、場所ごとに少しずつ力を付けてきており、まだ底は見せていない。

・課題

 経験を積むのは勿論だが、相撲内容を変えていくことが求められる。琴ノ若は四つ相撲も押し相撲も取れる上に体が柔らかく、懐が深い。才能があるだけでなく、器用な力士でもある。しかし最近は得意の右四つに組み止め、左上手を取っても脇の甘さを突かれる相撲が出てきた。相撲を観た限りでは得意の右四つには組んでも廻しは取らず、柔軟に対応する相撲を取った方が良さそうだ。そしてリーチは長いので押し相撲は上位力士が相手でもある程度通用している。将来的には父が得意としていた右四つに組み止める相撲より、祖父が得意としていた突き押しを磨いていった方が良さそうだ。本人もそれは理解しており、先場所あたりからは押して勝つ相撲が増えてきた。結果も大事だが、上を見据えながら内容にもこだわりたい。

・今後に向けて

 1月場所は12日目終了時点では5勝7敗で後がなくなったが終盤は3連勝し、千秋楽に勝ち越しを決めた。新三役での勝ち越しは立派である。2桁勝利はまだ少し時間がかかりそうなので三役定着が最優先である。またサラブレッドが故に坊ちゃん気質な部分もあり、それが相撲に表れる時もある。そして元大関琴奨菊の秀ノ山親方が言っていたが、独特の感性を持っているみたいだ。そういった部分も含めて少し長い目で見たい力士である。大関は別にして今後成長してくると思うので非常に楽しみである。