2026年3月場所を振り返って なぜ霧島は優勝できたのか? トレーニング方法の変更

 豊富な稽古量で大関に昇進したが、2年前の3月場所前の出稽古で首を痛めた。その後2場所連続で負け越して大関から陥落した。そして首痛の影響で今までのような猛稽古はできなくなった。

 その焦りもあり、筋力アップに着手した。ただ、ウェイトトレーニングに偏るあまり、自身が思い描く動きを見失った。転機は去年の7月場所だった。大関復帰へ関脇で2場所連続二桁勝利を狙ったが8勝7敗と勝ち越しのがやっとだった。見かねた師匠の音羽山親方(元横綱・鶴竜)、八代直也トレーナーと話し合い、トレーニング方法を変えた。

 トレーニングはモンゴル式を導入した。昨年11月場所からモンゴル相撲の鍛錬で使うという90キロの砂袋を毎日、5回3セットで持ち上げて、体幹を強化した。これによりぶれない立ち合いを取り戻した。更に、八代氏の提案で股関節や足首の機能性を高めるだけでなく、ピラティスを稽古前に15分~20分取り入れ、インナーマッスルを強化した。本人は「数場所後に効果が出ればいい」と話していたが、今場所は土俵際の身のこなしで逆転するなど効果が表れた。

 また八代さんによるとモンゴル出身の音羽山親方が師匠を務めていることも大きいようである。モンゴル語で細かいニュアンスが伝えられるので、指導に無駄がなくなったらしい。

 それに加えて今までは自分の事しか考えていなかったが、数場所前から弟弟子を誘ってジムに通うなど、部屋の看板力士としての自覚が出てきた。それまでは霧島に対して辛らつな言葉を並べていた音羽山親方が、去年の11月場所は「ウチの霧島だってまだまだ諦めていないよ」と大関復帰を後押しするコメントをしていた。間近で見ており、弟子の意識の変化を感じ取っていたようだ。そして諦めない姿勢が優勝と大関復帰につながった。

続く