2022年11月場所を振り返って 優勝争い その6

 そして優勝決定巴戦は一人が二番続けて勝てば優勝が決まるが、勝てなければ二番勝てるまで続くというルールである。くじ引きで先ずは高安と阿炎の取組となり、貴景勝は土俵下で待機となった。また貴景勝は結びの一番を取った後ということで肩で息をしており、少し辛そうな顔をしていた。そんな状況での高安と阿炎の再戦となった。本割の対戦を踏まえて高安は立ち合いで左差しを選択。しかし阿炎はそれを見透かしていたかのように左に変化した。そして変化が頭に全くなかった高安は阿炎の胸に頭がぶつかり、首が曲がった。高安はその場で崩れ落ち、しばらく動けなかった。どうやら脳震盪ではなく、首を痛めてしまったようだ。勝負に関しては決定戦で思い切って変化したのは阿炎らしいと言える。自信があったのだと思う。また変化で勝ったことで次に対戦する貴景勝に変化するかもしれないという意識を植え付けることもできた。あらゆる意味で効果的だったのは確かである。一方高安は阿炎は変化のある力士なので頭の片隅には変化を入れて欲しかったところだ。結局頭に全く入っていなかったので結果として首を痛めるということになってしまった。

続く