2026年1月場所個別評価 阿炎

 今場所は西前頭12枚目だったが10勝5敗の好成績だった。再入幕の場所以来4年ぶりの前頭二桁の番付となったが6連勝スタートを切ると前半戦は7勝1敗で折り返した。そして後半戦は10日目に勝ち越しを決め、優勝争いにも絡んだ。12日目からは番付上位の力士との対戦となったが連敗し、優勝争いから後退した。それでも14日目は高安を送り出し、7場所ぶりの二桁勝利となった。

 内容に関しては得意としているモロ手突きからの突き押しだけでなく、廻しを取る相撲も多かった。初日の翠富士戦は立ち合いで左に動いて左上手を取ると左へ動きながらの上手投げで翠富士を這わせた。5日目の千代翔馬戦は両手を出して立った後右を差したが千代翔馬に右を差されて寄り詰められた。しかし左上手は許さず左へ回り込むと左からの突き落としで這わせた。取組後は「年を取って子供もできて落ち着いたと言われる。闘志が出てないのかな。まだ現役ですから、力士らしくやっていかないと」と語っていた。しかし土俵の上では「やんちゃな相撲」を取っているように私には見える。また観ていても相撲の意図が分かるので気持ちのいい力士である。10日目の欧勝海戦は右カチ上げから突き立てたものの引きに乗じて押し込まれた。しかし土俵際で右から突き落として這わせた。体が動いており、好調ぶりを象徴するような一番だった。

 一方突き押し相撲は減った感じがする。やはり肘の状態が良くないのだろう。今後も今場所のような内容が続きそうだ。稽古場では上手を取ったり右四つに組む相撲も取っており、相撲の取り口の幅が広がっているのは先々に向けてプラスになりそうだ。

 来場所は東前頭5枚目となったが勝ち越しを期待したい。得意の突き押し相撲が少なくなっており、その点で少しだけ物足りなさを感じる。しかし本人は現状を受け入れた上でイメチェンを図っており、非常に清々しく見える。今後手本にしてほしいのが元関脇安美錦の現安治川親方である。若手時代は右四つが得意だったが晩年はほぼ押し相撲であり、大幅に相撲の取り口を変え、40歳まで現役を勤めた。また手足が長いので探求心さえ失わなければ活路を見出せると思う。ある意味ではここからが相撲人生の本番である。