2026年1月場所個別評価 大の里
今場所は10勝5敗という成績だった。先場所中に左肩鎖関節を脱臼し、千秋楽を休場した。その後の冬巡業を全休し、回復具合が注目された。しかし1月5日の横審の稽古総見では上位力士とは稽古せず、回復途上をうかがわせた。よって豊昇龍以上に不安を抱えての場所初日となった。
3日目の宇良戦は宇良の機をてらった足取りに両手を付いてしまったが宇良も両足を開いてのけぞっており、同体取り直しとなった。取り直しの一番は落ち着いて押し倒して勝ったものの、まだ序盤ということで不安を覚えた。その後は相撲の歯車が狂った。4日目は義ノ富士に上手投げで敗れ、2場所連続金星献上となった。そして勝ちはしたものの、5日目の隆の勝戦は押し込まれたところを左足一本で残し、辛うじて突き落とした。7日目の大栄翔戦は一方的に攻め込まれたが最後は右へ回り込んで叩いた。結局悪い流れのまま8日目からは3連敗となってしまった。
初の休場危機となったが11日目は霧島を一気の攻めで寄り切ると14日目は安青錦を押し倒して10勝目を挙げた。初の試練となったが、休場せずに千秋楽まで取り切った点は評価したい。
内容に関しては左肩の痛みもあるし、稽古不足もあるのだろう。立ち合いの出足に安定感がなく、相撲に落ち着きが感じられなかった。入門後はこれといった挫折もなく横綱に上がっており、他でもない本人が一番辛かったに違いない。また8日目の伯乃富士戦と10日目の熱海富士戦では取組中に左肩に痛みが走り、顔を大きくゆがめる場面が見られた。よって左肩の状態が良くなかったことだけは明らかである。左が使えず、右を差すだけの相撲になったので対戦相手に弱点を突かれ、黒星が増えた。
ただ映像で見た限りでは左はおっつけることはできないものの、押す分には問題ないように見えた。師匠の二所ノ関親方は「ただ弱いだけだ」とコメントし、そういった事を含めて突き放していたのかもしれない。それでも今後左を使えるかは将来を大きく左右しかねない問題である。もう一人の横綱の豊昇龍は安青錦戦がネックだが、大の里は自身との戦いである。左肩の回復が見込めないようであれば、相撲の取り口を大きく変える必要性も出てくる。その点でこれからが見逃せなくなってきた。
来場所は左肩の状態を少しでも元に戻すことが第一である。そして本来の強さを取り戻せるのか?。3月場所がポイントになりそうな気がする。ただ既に横綱である。自分で考えた上で乗り越えていくことと同時に結果も求められる。力士として、そして一人の人間としても、ここが正念場である。
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