2026年1月場所個別評価 豊昇龍

 今場所は10勝5敗という成績に終わった。場所直前に左膝を痛めて稽古を休み、不安が残る中で初日を迎えた。連勝スタートも3日目は義ノ富士に敗れて初黒星となった。その後は持ち直したかに見えたが8日目は大栄翔、そして9日目は熱海富士といずれも平幕相手に連敗して3敗となった。また相撲内容も良くなく、優勝どころか休場する可能性さえ出てきた。しかしその後は何とか持ち直し、11日目は高安を破って勝ち越しを決めた。翌日からは連敗したものの終盤は上位力士に連勝し、10勝で場所を終えた。二桁に乗せて場所を終えたという意味では、最後は体裁を整えたという印象が強い。

 内容に関しては左膝を痛めたことが原因で立ち合いの踏み込みが弱くなっていた。また踏み込みが弱かった分攻め込まれる内容が多かった。それを象徴したのが7日目の伯乃富士戦である。取り直し前の一番は伯乃富士に左を差されて腕を返され、絶体絶命の体勢となったが強引な右小手投げで同体取り直しに持ち込んだ。ただVTRでは豊昇龍の左手が付くのが早く、伯乃富士の勝ちでもおかしくなかった。取り直しの一番は左は差されたものの右上手を取り、上手投げと出し投げで揺さぶりながら最後は寄り倒した。最初の一番では顔から落ちて右の額をすりむいており、執念の白星だった。本来ならここから調子を上げていかなければいけないところだ。しかし8日目の大栄翔戦は叩き込みで敗れた。左足をしっかり送れなかったことが敗因である。そして9日目の熱海富士戦はモロ手を下からあてがわれて上体が起きての完敗だった。いずれも左膝が敗因であり、どうにもならなかった。

 それでもその後は連勝し、休場危機は乗り切った。11日目の高安戦は相手得意の左四つに組まれてヒヤッとしたが、土俵際で高安の右腕を取ってのとったりで土俵の外にかわした。横綱としての役割は果たしていないものの、休場せずに千秋楽まで取り切った点は評価したい。

 来場所は痛めている左膝の状態を上向かせることが第一である。1月場所後は巡業はないので、その時間を上手く使いたい。ただ仮に左膝の状態が回復したとしても、4連敗中の安青錦が立ちはだかる。そして安青錦戦が横綱初優勝への足かせになりかねない。稽古場では勝てている一方、本場所で勝てないということは稽古場は参考にならないかもしれない。安青錦に勝つためには徐々にではなく、一気に上体を押し上げるしかないと私は思っている。それでは一気に上体を押し上げるにはどうすればいいか?。まずは安青錦が負けた映像を何度も見て、自分なりに攻略法を見つけたい。また安青錦に勝てるかどうかが相撲人生を大きく左右しそうな気がする。そして横綱の地位を守るためには避けては通れない課題である。