2022年9月場所個別評価 大栄翔

 今場所は7勝8敗という成績だった。先場所は場所中に部屋に新型コロナ感染者が出たため、13日目から休場したが、13日目時点で負け越していなかったため、関脇に留められた。そして今場所は白星スタートも2日目から6連敗。8日目からは二大関を倒すも13日目に若元春に叩き込みで敗れ、負け越しが決まった。それでも千秋楽は勝てば敢闘賞受賞だった北勝富士に叩き込みで勝ち、7勝目を挙げた。これで来場所も三役に残れそうである。

 内容に関しては前に出て勝った相撲は3番しかなく、持ち味であるのど輪押しを主体とした攻めはあまり見られなかった。また今年の5月場所は小結で二桁勝利を挙げる活躍をしたものの、最近は前半戦は黒星が続き、後半戦は巻き返して帳尻を合わせているといった印象が強い。後半戦に巻き返せるのは地力がある証拠だが、今場所でいえば前半戦で伸び盛りの豊昇龍、霧馬山、琴ノ若といった力士に負けており、以前のように大関を目指すような勢いはなくなってきている。その一方で経験を積み重ね、相手を見ながら引いたり叩いたりするのは上手くなっている。今場所のような内容では二桁勝利は見込めないが、勝ち越すかどうかといった位の白星はコンスタントに挙げていきそうである。

 来場所は小結ということになりそうだが、勝ち越して三役の座を維持したい。以前は平幕上位で勝ち越してもなかなか三役に上がれず、悔しい思いをしてきた。そして現在は以前にも増して平幕力士が三役になかなか上がれない状況が続いている。また三役にいれば勝ち越せばその地位を守れるのでアドバンテージを活かしたい。逆に負け越せば平幕へ陥落となり、三役復帰が至難の業となるのは目に見えているので勝ち越しを期待したい。