2025年11月場所個別評価 熱海富士
今場所は東前頭6枚目だったが8勝7敗で勝ち越した。6日目までは5勝1敗と白星が大きく先行した。その後11日目に7勝目を挙げたが翌日から3連敗し、勝ち越しを前に足踏みした。しかし千秋楽は御嶽海を押し出して勝ち越しを決めた。
内容に関しては勝った8番中6番押し出しで勝っており、廻しにこだわらない相撲が多かった。また体格は身長187センチ、体重192キロと立派である。しかし体格の割にはリーチは長くなく、個人的には押し相撲の方が合っていると思う。そして四つに組むにしてもがっぷりに組むのではなく、前廻しを取る相撲の方が合っている気がする。サイズだけ見れば師匠の元横綱照ノ富士の伊勢ヶ浜親方と似ているのだが、リーチは師匠の方が長かった。その意味で師匠のような抱え込む相撲は取って欲しくないと思っている。また後半の失速は少しだけ物足りなさが残るものの、この位置で勝ち越せるのは地力がある証拠である。
特に良かったのが初日の正代戦と9日目の大栄翔戦である。正代戦は当たり勝って左をのぞかせると右からおっつけて力強く押し出した。そして大栄翔戦は大栄翔のモロ手突きをカチ上げで受け止めると突き起こして大栄翔の上体を起こし、一方的に押し出した。このような相撲が取れれば細かな形を気にする必要がなくなる。年齢も23歳と若く、馬力を前面に押し出す相撲が取れれば相手にとっては脅威となる。
来場所は西前頭4枚目となったが二桁勝利といきたい。部屋には伯乃富士や義ノ富士がいるものの、恵まれた体型という部分ではやはり熱海富士に期待したくなる。そして相撲内容に安定感がなく、裏を返せば伸びしろがあるということである。おそらく技量が上がれば勝てなかった相撲も勝てるようになると思うので、技量を高めることに意識を集中したい。また本人の努力だけでなく、師匠がどう導いていくかもポイントになりそうだ。
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