2022年7月場所を振り返って 優勝争い その6

 結局優勝争いの3力士は全て敗れた。14日目終了時点で3敗は照ノ富士と逸ノ城。そして4敗で貴景勝が追いかける展開となった。横綱が14日目に勝っていれば圧倒的有利な展開を作れたがそれができなかった。逆に貴景勝と逸ノ城に優勝の可能性を与えてしまった。おそらく照ノ富士の膝の状態を見て二人はやる気になったのではないだろうか。コロナ感染拡大もあり、混とんとした雰囲気の中で千秋楽を迎えた。

 そして千秋楽だが、優勝争いの前に幕内の北勝富士のコロナ感染が明らかになり、同部屋の隠岐の海とともに休場となった。また師匠である八角理事長がその影響で恒例の協会ご挨拶は行ったものの、その後に弟子の感染が判明し、表彰式を欠席するなど、今場所の混乱を象徴するような千秋楽となった。

 優勝争いは当然ながら逸ノ城が先に登場し、宇良と対戦した。宇良は7勝7敗であり、勝ち越しが懸かる。最後の仕切りでは宇良が少し下がって仕切るなど、14日目の明生と同じような仕切りとなった。そして立ち合いで逸ノ城は昨日同様左からの張り差しを選択。昨日負けた作戦を選んだあたりに逸ノ城の意志の強さを感じた。その後鋭く踏み込んだ上で左上手を取った。そして右を差し、宇良の動きを完全に止めた。最後は右のかいな、つまり腕を返し、寄り切った。宇良は昨日の明生とは違って立ち合いの当たりが弱く、一気に前に出るタイプの力士ではない。そういう意味で二日連続の同じ作戦は正解だった。やはり昨日と違ったのは立ち合いの踏み込みの鋭さである。200キロ超の巨漢力士に動きを止められては宇良は何もできない。これで逸ノ城は3敗を守り、照ノ富士の結果待ちとなった。照ノ富士が勝てば優勝決定戦。負ければ逸ノ城の初優勝が決まる。また逸ノ城が勝ったので貴景勝の優勝の可能性が消えた。

続く