2025年11月場所を振り返って 優勝争い 12日目 琴櫻ー義ノ富士戦、大の里ー王鵬戦

 3敗の義ノ富士は琴櫻戦だった。初顔合わせである。相撲は義ノ富士が頭からぶちかますと義ノ富士の2度目のぶちかましに琴櫻がたまらずまともに引いた。そして土俵際は微妙だったが琴櫻のかかとが俵の上に乗っており、叩き込みで琴櫻が辛くも白星を手に入れた。

 勝ったとはいえ琴櫻は相撲内容では完全に負けていた。しかし勝ち越しに向けては非常に大きな7勝目となった。終盤は横綱戦と安青錦戦が控えているが、何とかあと一番勝って来場所のカド番は避けたいところである。

 一方負けた義ノ富士は4敗目となり、初優勝が厳しくなった。そして内容は相撲に勝って勝負に負けた印象が強い。あと一歩足が前に出ておらず、今後はそのあと一歩を出せるくらいの地力を付けたい。また負けたとはいえ2度目の当たりは目を引くものがあった。琴櫻が反射的に引いたことがその威力を物語っている。そして二の矢の攻めができるのは努力ではなく、才能である。やはり三役止まりの器ではなく、その上を目指せる逸材と言えそうだ。

 大の里は王鵬戦だった。過去の対戦成績は大の里の5勝3敗だが、直近6場所の対戦は3勝3敗の五分ということで油断できない相手である。相撲は当たってすぐに右を差すと王鵬の右のど輪を左からあてがって凌ぎ、危なげなく寄り切った。

 勝った大の里は連敗を2で止めた。しかし連敗したことは事実であり、王鵬戦も無難に勝ったものの、終盤に向けて調子を上げているとまでは言えない。よって優勝争いのトップに並んでいるが、流れ的には終盤はどちらに転がる可能性もあると見ていた。

続く