2025年9月場所個別評価 朝乃山

 今場所は西十両13枚目であり、1年ぶりの関取復帰となったが12勝3敗の好成績だった。前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は10日目に勝ち越しを決めると12日目は剣翔を寄り切って白星を二桁に乗せた。13日目は錦富士に敗れて3敗目となり、優勝争いから後退した。終盤は白星を伸ばし、12勝で場所を終えた。

 内容に関しては右四つに組み止める相撲には安定感があった。序盤は2日目に新十両の西ノ龍に敗れ、3日目は風賢央を叩き込んだものの土俵際まで押し込まれており、物言いが付く内容だった。しかしその後は少しずつ調子を上げ、本来の動きに戻ってきた印象がある。

 また場所前は9番か10番くらいと思っていたようだ。それが結果は12勝であり、やはり同部屋の新十両の朝白龍の存在が大きかったものと思われる。朝白龍も右四つに組み止める相撲を得意としており、元大関としてやはり負ける訳にはいかない。また朝翠龍も同部屋ということで、お互いが刺激を受けながらの土俵となったのは確かである。

 負けた相撲に関しては特に8日目の白熊戦は左前廻しを取りながらも寄り切られており、正直物足りなさが残る。ただ左膝の大怪我を負った後であり、良化途上を踏まえれば力が出ないことも考えられる。こういった時に大事なのが気持ちの切り替えである。今場所は連敗しておらず、黒星を引きずらなかったのは評価できる。

 来場所は西十両4枚目となったが、本人が言うように二桁勝利と優勝争いを期待したい。勿論再入幕を決めたいところである。また今場所同様、朝白龍との優勝争いとなりそうなので今から楽しみである。そして31歳であり、ベテランの域に入ってきたのは事実である。よって今後は怪我をしない相撲を取ることは当然だが、長く現役を続けることに気持ちを切り替えて欲しい。実績や体格だけでなく、相撲内容も堂々としているのが人気の理由の一つである。ということで関取として一日でも長く土俵を務めることが今後の役割だと思うので頑張って欲しい。