2025年9月場所を振り返って 優勝争い 12日目 安青錦ー豊昇龍戦 相撲に関して

 そして結びで豊昇龍が土俵に上がった。対戦相手は新小結の安青錦である。過去の対戦成績は先場所の1回のみだが、その時は安青錦が渡し込みで勝ち、豊昇龍は初金星を献上している。内容も豊昇龍が押し込んだものの安青錦に右下手を取られると頭を付けられ、懐に入られた。こうなると豊昇龍は捨て身の投げを打つしかなくなる。そして安青錦に両足の間に足を入れられ、渡し込みで転がされた。

 そして今場所に当てはめても豊昇龍は確かにここまで全勝であり、好調である。しかし大の里のような出足がある訳ではなく、安青錦の上体を起こせるのか、私としては半信半疑だった。また安青錦は前日は正代に敗れて3敗目となったが、それが逆に豊昇龍には勝つのではないかといった予感がしていた。いずれにしても全勝優勝に向けては大きな関門になると見ていた。

 相撲は豊昇龍が当たってから突き立てた。しかし安青錦は前傾姿勢を崩さず、逆に押し返した。すると豊昇龍は左からいなし気味の引きを見せた。おそらく引いて決めるというよりも間隔を取りたかったのだと思う。しかし安青錦がその隙を見逃すはずがない。押し込んで右上手は取れなかったものの、すぐに左を深く差して下手を取った。その後豊昇龍が右小手投げを打ったものの、安青錦は左外掛けから膝を密着させて小手投げを許さなかった。そして体を寄せながら、最後はそのまま切り返して横綱をひっくり返した。これで豊昇龍は初黒星となり、優勝争いは1敗で大の里と並んだ。

続く