2022年1月場所個別評価 琴ノ若
今場所は11勝4敗という成績で2回目の敢闘賞を受賞した。去年の9月場所で痛めた左膝には分厚いサポーターが巻かれており、回復具合が心配されたが相撲を観た限りではその影響は見られなかった。連勝スタートし、前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は11日目に勝ち越すとその後も連勝した。千秋楽の阿炎戦は勝てば優勝決定巴戦進出の可能性を残していたが引き落としで敗れ、優勝の可能性がなくなった。しかし千秋楽まで優勝争いに絡んだことは大いに評価できる。
内容に関してはいつものように対戦相手によって四つ相撲と押し相撲を使い分けていた。相撲の取り口よりも立ち合い負けした相撲がほとんどなく、それが好成績につながったと見ている。今場所は平幕下位の番付だったが、これくらいの立ち合いができれば番付が上がってもそれなりに相撲が取れそうだ。その点では着実に成長している。
一方で負けた相撲に関しては課題の残る相撲が多かった。3日目の豊山戦は左を深く差し、組み止めたかに見えた。しかし徐々に体勢が悪くなり、最後は右上手を取られると寄り切られた。琴ノ若は右四つが得意だが、逆の四つになった時は相手が十分の四つと分かれば早く攻めたい。5日目の魁聖戦は立ち合いから右四つに組み、左上手を取るという十分な体勢を作った。しかし魁聖に左上手を取られてしまった。魁聖は体重200キロの巨漢力士である。相撲には十二分という言葉がある。自分が十分な体勢を作っても、相手にそれ以上の体勢を作られたら力を発揮できないという意味である。相撲は最後は左上手を切られ、寄り切られた。そして10日目の石浦戦は突き放しに出たが、攻防の中で左を差され、最後は下手投げで敗れた。石浦が左差しを得意としているのは分かっていることであり、そうであるならば徹底的に左を差させないという姿勢や工夫が欲しかった。相撲を観た限りではそういったものが見られなかった。相撲に負けはつきものだが、結果ではなく、内容的に少し甘さを感じる。技術的な部分もあるとは思うが、相手に力を発揮させないような相撲が求められる。
3月場所は西前頭6枚目という番付となった。再度勝ち越して、その次の場所は平幕上位の番付といきたいところだ。あとは立ち合いの当たりをもっと強くし、立ち合いで先手が取れるようになりたい。体が大きい割には柔らかいので今後が非常に楽しみである。
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