2025年7月場所個別評価 琴栄峰
今場所は東前頭17枚目であり、新入幕となったが6勝9敗で負け越した。序盤5日間は3勝2敗と白星が先行した。しかし翌日から3連敗し、前半戦は3勝5敗で折り返した。そして後半戦も黒星が増え、12日目は隆の勝に押し出されて負け越しが決まった。
さて琴栄峰を紹介したい。琴栄峰は千葉県柏市出身で佐渡ヶ嶽部屋所属であり、年齢は22歳である。また身長184センチ、体重140キロであり、右四つ、寄りを得意としている。兄は今場所幕内最高優勝を果たした琴勝峰である。
内容に関しては出足を生かした相撲もあったが、全体として見れば力が通用しなかったという印象である。また負けた9番中6番が投げ技家の黒星であり、軽量を突かれる内容が多かった。この部分は増量すれば白星に変えられる可能性があり、まずは体を大きくしたいところだ。
個人的に記憶に残っているのが負け越しが決まった12日目の隆の勝戦である。当たってからの右のど輪で一気に押し込まれるとそのまま押し倒された。同郷の先輩から洗礼を受ける格好となった。厳しく言えば、隆の勝の当たりを受け止められなければ幕内定着はできない。ということでこの一番は本人には忘れて欲しくない相撲である。
そして結果は残せなかったものの、刺激という点で琴勝峰の初優勝に大きく貢献したのも事実である。本人は必死に相撲を取っていただけだと思うが、兄にとっては奮起する要素になったことは間違いない。兄の潜在能力を引き出したという点では新入幕を果たした意味は非常に大きい。そしていずれは兄のように優勝できる力士になりたい。
来場所は十両陥落が濃厚だが、十両上位に好成績の力士が少なく、幕内に残留できる可能性もある。また夏巡業が行われており、多彩な相手が集まっているので部屋での稽古では経験できないことが経験できる。自身を高められるチャンスでもある。本人は「相撲が軽かった。軽さが出て逆転負けを食った。技術的にカバーできるようになりたい」と9敗した要因を語る。しかしこれは入幕しなければ分からないことであり、経験できたことに意義がある。そして考えながら相撲が取れる力士であり、巻き返してくるはずである。将来的には兄を刺激するだけでなく、琴櫻と肩を並べるくらいの存在になって欲しい。
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