琴櫻に次ぐ大物!? 琴栄峰 私が観た印象

 琴勝峰の弟ということもあり、入門時から注目していた。ただ体が大きい兄と比べると体が細く、頼りなさもあった。しかしスピードは持っており、期待のホープと言われるだけの相撲を取っていた。幕下は2年過ごしたが大勝ちがなかった一方、負け越したのは3度だけであり、幕下の土俵で揉まれたとまでは思わない。順調に番付を上げ、十両に昇進した。そして十両は4場所で通過し、新入幕となった。

 また幕下時代から親方衆の評価が非常に高かった。身体能力の高さ、大きくなりそうな体つきに加えて精神面も強く、高い評価もうなずける。

 そしてやはり4つ上の琴勝峰と比較したくなる。琴勝峰は各段優勝こそなかったものの入門時から体が大きく、ある程度完成されていた。弟とは違って幕下昇進後は負け越し知らずでわずか5場所で十両に昇進している。そして十両も3場所で通過し、新入幕を果たした。この部分は体格に加えて相撲の完成度の差と見ている。

 一方琴栄峰は体が細かった分、兄より時間がかかったという感じである。しかし体を少しずつ大きくしながら番付を上げており、理想的な成長曲線を描いている。もう一つは相撲の取り口の違いである。右四つ、寄りを得意としているのは同じである。しかし琴勝峰は勝ち身が遅く、最近は攻められた後に粘りを見せて白星を挙げる内容が多い。また何となく相撲を取っているイメージがあり、相撲の意図が観ている方には伝わってこない。一方琴栄峰は基本的に相手の懐に入って一気に前に出る相撲を取っている。また廻しを取るにしても変化するにしても、相撲の意図が伝わってくる力士である。そして一番一番でテーマを持ち、相撲を取っているように見える。勝ち負けは別にして、相撲に強い意志を感じる。また振り回す力が強く、投げ技を得意としているのは一緒である。

続く