ラダーの申し子! 嘉陽 沖縄県出身力士に関して

 2025年3月場所は美ノ海が沖縄県出身初の三賞となる敢闘賞を受賞し、話題となった。第二次大戦後、沖縄県勢の大相撲界入りを大きく阻害したのは、1972年5月15日までの27年間に及ぶ米軍占領だった。本土に渡るにはパスポートが必要であり、後に関取第一号となった琉王はパスポートを持参しての入門だった。その後琴椿、若ノ城、琉鵬、木崎海が関取となり、木崎海を除く3人が幕内まで番付を上げている。

 特に若ノ城は柔道のオリンピック代表候補と言われていた。体格にも恵まれ、出世が期待されたが糖尿病に苦しみ、三役昇進とはいかなかった。

 木崎海は美ノ海の2歳下の弟であり、三段目付け出しから順調に出世した。しかし2020年1月場所で首を痛めた。その後「中途半端な状態で相撲を取るべきではない」とコメントし、同年8月に25歳の若さでの現役引退となった。おそらく美ノ海は弟の思いも背負って土俵に上がっているものと思われる。

 そんな中で嘉陽が2025年5月場所で新入幕となった。先述のように自身は千葉県市川市生まれであり、12歳で新潟県に相撲留学するまでは市川市で育った。ただ両親の出身地である那覇市出身として扱われている。また顔立ちも沖縄県出身らしく、違和感は全く感じない。また同じく沖縄県出身の宮乃風によると「行動はうちなータイプ。出掛ける直前に風呂に入る」ようである。ちなみに宮乃風は名護市出身であり、高校まで名護市で育っている。また十両昇進会見では「師匠についてきてよかった。ノビノビと楽しくできているのが成績につながっている」と語っている。これは嘉陽にも当てはまりそうである。

 今後に向けては美ノ海の後を嘉陽が継げるかどうかが焦点となりそうだ。独特の相撲センスを持っており、増量しているのもプラス材料である。そしてもっと番付を上げ、沖縄県出身力士が増えるような流れを作りたい。

続く