2025年5月場所を振り返って 優勝争い 11日目 大の里ー若隆景戦 大の里と若隆景に関して
この相撲は結果だけでなく、大の里が成長を見せた一番と言っていいと思う。勝因は二つある。一つ目は右上手である。これまでは右を差せないとまともな引きに走ることが多く、相撲に我慢が足りないように見えた。そして対策として取り組んできたことが「差せなかった時の右上手」である。少なくともこの一番に関しては右上手を取ったことで若隆景の動きをある程度止めることができた。ただ若隆景は軽量力士であり、他の力士に通用するかは分からない。それでも上手からの攻めを見せたことで対戦相手も攻略が更に難しくなりそうだ。
もう一つは左からのおっつけである。おっつけたことで若隆景に右の廻しを与えなかった。またそのことで若隆景は下手投げしか選択肢がなくなった。そして最後は馬力でそのまま体を預けた。何度も観ると本人なりに理詰めで相撲を取っているように見えた。こういった相撲が取れれば横綱になっても星が揃えられるはずである。相撲巧者の若隆景相手に不利な体勢になりながらも勝ったことは素直に評価できる。
一方負けた若隆景は攻め方は悪くなかった。しかし今回は大の里に上手く対処された。やはり体が大きくないので上手を取られると苦しくなる。今度は上手を取らせない相撲を取り、長い相撲に持ち込めれば勝機はあると見ている。
大の里は全勝を守り、綱取りに向けてヤマ場を乗り越えたと言える。若隆景は直接対決に敗れての3敗目であり、優勝が厳しくなった。
続く
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