肥後ノ城引退について 最後に

 さて私が思うのはこのように大学卒業後も大相撲に入門しようかどうか迷っている人が結構いるのではないかということである。特に最近はコロナ禍で社会人の相撲大会が開催されず、それが理由で角界に入門してきた力士もいる。またコロナ禍を抜きにしても社会人にとって相撲が取れる環境が整っているとは言えない。肥後ノ城の入門前のような状況に追い込まれる人も多いのではないだろうか。話を聞いた限りでは一山本のように公務員の立場で相撲に取り組むのが理想という感じがする。

 しかし個人的には迷っているのなら角界入りしたほうがいいのではないかという考えである。角界も公益財団法人となり、外部有識者も入っているので以前のような暴力が許される環境ではない。勿論番付社会の厳しい世界ではあるが、昔のような兄弟子のしごきもないと思われるのでその意味でのハードルは低くなっていると言っていい。また人生は一回きりである。体が動くうちに力試しのつもりで挑戦するのも悪くない。今できることに全力を注ぐという姿勢は理にかなっている。ただし角界の厳しさが分かっている人にまで勧めるつもりはない。覚悟を決めた上で入門してほしいところだ。

 最後に肥後ノ城は今後は出身地の熊本に戻って教員免許の取得を目指すようだ。曲折を経て入門し、苦労も多かったと思うがその経験が必ず活きてくるはずである。今後の人生に幸あれ。

終わり