2025年3月場所個別評価 狼雅

 今場所は東十両3枚目であり、7場所ぶりの十両での土俵となったが11勝4敗の好成績だった。7日目までは6勝1敗と白星が先行したが翌日からは連敗して3敗となった。その後12日目の草野戦は他の3敗力士が全て敗れたこともあり、負ければ草野の新十両優勝が決まるという大事な一番となった。相撲は激しい攻防となり、最後は左からおっつけて前に出たものの右下手投げで敗れ、初優勝を許した。終盤は3連勝し、11勝としたことで一場所での幕内復帰をほぼ確実とした。

 内容に関しては右四つに組み止める相撲には安定感があった。そして地力の違いを見せた。好内容だったのが11日目の琴栄峰戦と千秋楽の若碇戦である。琴栄峰戦は当たってすぐに左上手を取ったものの琴栄峰に寄り立てられる中で左上手が切れると同時に左上手を取られた。その後寄り詰められたが残すと右からの下手投げで琴栄峰を裏返しにした。相手の攻めを受けた後の逆転勝利であり、より強さが際立った。若碇戦は当たってすぐに右を差した後は相手の攻めをこらえた。今度は逆に寄り立て、左上手を取ったが若碇は半身になって残した。その後若碇が右掛け投げを仕掛けたが、体をかぶせるように左上手投げを打ち返し、若碇をうつ伏せにさせた。新鋭相手に落ち着いた相撲で対処していた。また廻しを取ってから前に出るのではなく、前に出ながら廻しを取りに行く相撲も見られた。勝ち身がやや遅い部分があり、前に出ることが大事なので姿勢としては悪くない。また前に出ながら廻しを取るのが攻めとしては理想である。

 来場所は幕内復帰となるが、まずは勝ち越したい。また今回から十両3枚目以上が巡業の参加対象となるが、右ハムストリングを痛めたのが理由で春巡業を休場したのが気になる。右ハムストリングは1月場所前の稽古で痛め、1月場所は休場している。やはりまだ万全ではなく、もう少し時間がかかりそうである。少しでも回復させて5月場所に向けて備えて欲しい。