2025年3月場所を振り返って 優勝争い 14日目 高安ー美ノ海戦
14日目。先述の通り2敗の高安は美ノ海戦となり、3敗の大の里は大栄翔戦となった。展開を考えると高安有利は明らかだが、過去に優勝を何度も逃しており、高安の相撲を見終わるまでは優勝争いが全く読めなかった。
高安と美ノ海の取組は前半戦最後の取組となった。高安は勝てば初優勝が見えてくる一番であり、大事なのは言うまでもない。相撲は美ノ海が左前廻しを狙ったのに対し高安は右かち上げで応戦した。そしてかち上げがヒットし、美ノ海は前廻しが取れなかった。その後細かい突っ張りで美ノ海を突き起こし、攻め立てた。ここまでは高安の思惑通りだった。しかし美ノ海は身長178センチと背が低い。前日の若元春のように的が大きくないので思ったほど突き押しが効かない。美ノ海は後退しながらも下からあてがい、前傾姿勢を崩さない。そして高安の上体が起きてきたところで美ノ海が右を徹底して固めながら反撃に出た。押しながら徐々に高安の懐に入ると高安が思わず引き、そこを美ノ海が一気に押し出した。これで高安は3敗となり、優勝争いが再び分からなくなった。そして館内は拍手というよりも高安が負けたということでため息が広がった。
美ノ海は本当に素晴らしい相撲内容だった。かち上げにクラッときたようだが我慢して高安の突っ張りをこらえた。そして左差しを許さなかったことも勝因である。これで高安に組み止めるという選択肢がなくなり、自分得意の形に持ち込めた。また勝ち負けよりも自分の相撲を取り切るという信念が見えた。
そうはいってもやはり高安が負けたことの方に目が行ってしまう。元大関のベテランであり、美ノ海とは実績が違う。ただこの相撲に限らず、肝心の一番では攻め立てるも攻めきれず、逆に攻め込まれて負けるといった光景を何度も観てきている。対戦相手が違うだけであり、同じことの繰り返しになってしまった。優勝に向けてはあまりに痛い黒星であり、この時点で優勝は厳しいと思った。11日目も単独先頭に立った翌日に負けている。こういった事は優勝争いではあまり起こらず、精神面を指摘されても仕方がないところである。
続く
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