2025年1月場所を振り返って 十両の優勝争い 12日目まで 若碇ー獅司戦、安青錦ー獅司戦

 幕内同様、十両の優勝争いも面白かった。8日目終了時点で1敗が獅司、安青錦、若碇の3人であり、2敗で4人が追いかける展開となった。そして10日目までは1敗の3人が譲らず、並走が続いた。11日目は獅司と若碇の直接対決となった。相撲は若碇が立ち合いで右に動くと激しい突き押しで獅司を攻め立てた。しかし獅司が対応すると若碇の動きが止まった。その後獅司が右から張った後右四つに組み止めると寄って前に出た。土俵際で若碇が捨て身の右掬い投げを打ったが獅司がそのまま体を預けて寄り切った。激しい相撲内容であり、館内も非常に盛り上がった。獅司は1敗を守り、若手の挑戦を退けた。一方若碇は土俵から転落した際に左腕を強打した。そして翌日から休場し、優勝争いから脱落した。もう一人の1敗の安青錦は朝紅龍に勝って1敗を守り、1敗は獅司と安青錦の2人となった。

 そして12日目は獅司と安青錦の1敗対決となった。また史上初のウクライナ出身同士の対戦である。本来なら番付は1枚しか違わず、前半戦で組まれるものと思われた。しかし両者が白星を伸ばしたことで終盤での取組となり、優勝の行方を大きく左右する一番となった。相撲は安青錦の右差しを獅司が振りほどくと安青錦が突き起こして懐に入ろうとした。しかし獅司も突っ張ってこれを許さない。最後は安青錦が前に出てきたところを左に体を開いて突き落とし、安青錦は土俵に這った。獅司は安青錦の攻めを受け止めての勝利であり、先輩力士として意地を見せた。また同じ母国だが出身地も遠く離れており、角界入りの時期も違うため、これまでは特に親交はなかったようだ。来場所は揃って入幕となり、幕内で「ウクライナ対決」が実現しそうである。12日目終了時点で1敗は獅司一人となり、単独トップに立った。そして2敗で竜電と安青錦の2人が追いかける展開となった。

続く