今年の大関候補2025 王鵬

・去年1年に関して

 力を付けた1年と言っていいと思う。6場所中3場所で自己最高位を更新したことが物語っている。9月場所は西前頭2枚目で9勝6敗で勝ち越し、11月場所は新三役の可能性もあったが東前頭筆頭に止まった。その11月場所は勝ち越せば三役昇進だったが6勝9敗で負け越し、新三役はお預けとなった。

 特筆すべきは上位戦の成績である。大関以上とは6勝7敗であり、三役以上に相手を広げても14勝15敗とほぼ互角に戦えている。更に驚異的なのが結びの一番の成績であり、何と5勝1敗、勝率.833という数字である。本人も結びだからと言って緊張はしないと語っており、このあたりは大横綱の祖父大鵬譲りである。

・課題

 やはりスピードと馬力である。対琴櫻戦は2連勝しており、評価できる。ただ琴櫻は攻めを受けてくれるタイプである。去年の11月場所は琴櫻には勝ったものの、豊昇龍戦はスピードで、そして大の里戦は馬力で圧倒された。体が大きいのでスピードが遅いのは仕方ないが、もう少しスピードに対応できれば違った結果が出るかもしれない。そして大の里は馬力があるだけでなく出足が速いので対応するのは大変かもしれない。しかし先を考えれば勝ち負けは別にして、相手の出足を土俵際で止めたいところだ。

 あとは先述の通り平幕上位での勝ち越しは1場所だけであり、三役に向けてはもっと実績を作りたい。ゆっくりながらも着実に力を付けてきており、非常に楽しみである。

・今後に向けて

 上位力士に勝てる力は持っており、あとは場所を通して安定感のある相撲内容を求めたい。年齢は24歳と若く、体格にも恵まれていることからいずれは三役の4人の間に割って入ってきそうである。

 大関候補ではあるものの相撲の完成度は高くなく、本格化するにはもう少し時間がかかりそうだ。目先の結果にこだわらず、地力強化に努めたい。