2024年11月場所個別評価 伯桜鵬

 今場所は西十両2枚目だったが10勝5敗の好成績だった。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は11日目から連勝し、二桁勝利を挙げるとともに来場所の再入幕を確実にした。

 内容に関しては基本的には押し込んでから左四つに組む相撲を取っていた。以前は器用に上手く立ち回っていた印象もあるが、伊勢ヶ浜部屋に転籍後は前に出る意識が強くなった感じがする。師匠に加えて横綱がおり、その部分を徹底的に指導されているのかもしれない。特に良かったのが3日目の玉正鳳戦である。押し合いの攻防の後、左を差したものの逆に右上手を取られ、やや苦しい形となった。しかし右から押し上げるようにしておっつけて相手の上体を起こし、そのまま寄り切った。上手を取ってではなく、おっつけながら寄った内容は見事だった。左四つのイメージが強いが、押し相撲も磨いており、その成果が出たように見えた。また相手に力を発揮させる前に勝負を付けるという点では、相撲センスは流石というものを持っている。

 来年の1月場所は8場所ぶりの入幕となり、東前頭15枚目となった。勝ち越しは勿論、二桁勝利を目指したい。身長181センチ、体重160キロであり、手足が長くないので幕内に入ると平均的になる。そして馬力負けする内容も時に見られ、組み止められると苦しくなるタイプなので今後も押し相撲を磨くことが不可欠となる。押し相撲が通用するようになれば左四つの相撲も生きてくると思う。年齢は21歳と若く、今は目先の結果を求めるのではなく、先を見据えて稽古に取り組みたい。