2024年9月場所個別評価 高安

 今場所は東前頭15枚目だったが10勝5敗という成績だった。4日目までは2勝2敗だったが5日目からは白星を並べた。そして10日目に勝ち越しを決めると12日目は小結平戸海を破って10勝目を挙げた。またこの日は全勝の大の里が敗れたため星一つ差となった。しかし終盤は失速し、10勝で場所を終えた。

 内容に関しては左を差す立ち合いもあったが、細かく突っ張って相手の上体を起こすといった相撲が多かった。先場所は左大胸筋の部分断裂で休場。そして夏巡業も全休であり、調整不足が懸念された。そして実際に間に合わせるだけの調整になったようだが、その中で180キロ以上あった体重を175キロに減らし、動いて勝つ相撲に活路を見出した。巨体でありながら器用なタイプであり、現状で取れるベストの相撲を精一杯取ったという印象である。

 好内容だったのが12日目の平戸海戦である。右かち上げから突き落としを見せたが平戸海が残すとその後は細かい突っ張りで突き立てた。そして平戸海に下からあてがわれながら前に出られたものの、相手の引きに乗じてそのまま突き出した。伸び盛りの三役力士相手に元大関としての意地を見せた。しかし体力的にここまでだった。取組後は腰を気にする仕草を見せていた。そして腰痛だけでなく、細かい突っ張りでは迫力不足は否めず、平戸海戦を含めて前に出ることができなかった。稽古不足に寄るスタミナ切れもあったかもしれない。終盤の3連敗は仕方がない結果と言える。

 場所後の秋巡業は急性腰椎症のため全治2週間を要するという診断書を提出し、10月5日の巡業から休場した。次の場所に向けて不安材料である。

 11月場所は番付を上げるが、今場所同様、調整できるかが焦点となる。個人的には腰痛持ちであり、速い相撲を取って欲しいのだが、攻防のある相撲を取ることが信条であり、今後も怪我と背中合わせの土俵となりそうだ。去年は3場所、そして今年も3場所で休場しており、来場所はまずは皆勤して欲しいところだ。