2024年9月場所個別評価 狼雅
今場所は自己最高位の西前頭10枚目だったが8勝7敗で勝ち越した。前半戦は2日目から3連敗したもののその後は巻き返し、4勝4敗で折り返した。そして後半戦は白星が先行し、14日目に勝ち越しを決めた。
内容に関しては今場所は左前廻し狙いの相撲が多かった。取れなかったことも多かったが、取れた相撲のほとんどは勝てていた。特に良かったのが初日の玉鷲戦である。当たってすぐに左前廻しを取ると玉鷲の出足を止めた。その後玉鷲が前に出て来たところを右からの下手出し投げで仕留めた。こういった厳しい相撲が取れれば自ずと結果がついてくる。前廻しを取る確率を上げるとともに立ち合いの踏み込みももっと鋭くしたい。
そしてもう一つ注目していたのが左四つが得意の力士との対戦である。右四つが得意なのでけんか四つとなり、差し手争いとなる。高安と宝富士の両ベテランにはあっさり差し負けての完敗だった。しかし8日目の竜電戦は差し負けたものの、下手は取らせなかった。そして頭を付けてこらえると機を見て下手投げで崩して寄り切った。このように寄るだけでなく、投げ技も持っており、柔軟な動きができるタイプである。右四つに組み止めるのが理想だが、竜電戦のように自分の形になれなくても粘る相撲をこれからも期待したい。
11月場所は再度の自己最高位となるが3場所連続の勝ち越しといきたい。今のところは大勝ちできる内容ではないが勝ち越せる内容の相撲は取っており、着実に力を付けてきている。また体重も158キロと増えており、幕内に入っても見劣らない体型になってきたのは好材料である。現在の若手力士にしては珍しく右四つのしっかりとした型を持っている。その意味でまずは平幕上位に番付を上げ、上位力士と対戦する日が来ることを楽しみにして待ちたい。