2024年9月場所を振り返って 優勝争い 12日目 琴櫻-霧島戦

 最後に土俵に上がったのは霧島である。大の里の初黒星を土俵下で見ており、モチベーションが上がったかもしれない。また優勝争いは勿論、大関復帰に向けて大事な土俵となる。対戦相手は琴櫻だった。過去の幕内での対戦成績は10勝3敗で霧島が大きくリードしており、分のいい対戦相手である。

 相撲は琴櫻の二本差し狙いに対して霧島は突き放して応戦し、押し込みながら左前廻しを取った。しかし琴櫻に右下手を取られており、万全の体勢とは言えなかった。その後霧島が寄ったものの琴櫻は右下手投げで残した。霧島は右四つ左上手で十分の体勢である。一方の琴櫻は上手が取れておらず、苦しい体勢となった。ただ体格差があり、琴櫻が逆転する可能性もあった。どうなるか注目して観ていたが霧島が土俵際に寄り詰めたところで琴櫻が右下手投げを繰り出し、投げの打ち合いに持ち込んだ。しかし霧島は琴櫻の下手投げをこらえながら最後は左上手投げで仕留めた。

 霧島は2敗を守り、大の里が敗れたため星一つ差となった。それでも勝ったとはいえ、終盤が楽しみになる内容かと言えば微妙なところである。一方負けた琴櫻は5敗目となった。動きも精彩を欠いており、相撲自体が崩れてきているのが心配である。

 12日目終了時点で1敗は大の里、2敗が霧島と高安の2人、そして3敗が若隆景と錦木の2人となった。星の差が詰まったという意味では面白くなってきたのは確かである。ただ冷静に考えれば2敗力士のうち霧島は大の里に完敗しており、高安は34歳のベテランである。一方大の里は大関戦は残しているものの二大関ともに調子が上がっておらず、大の里が2人に負けるようには思えなかった。よって大の里有利の状況は変わらないと見ていた。

続く