2024年7月場所個別評価 島津海

 今場所は西前頭10枚目だったが10勝5敗という成績だった。7日目までは4勝3敗だったが8日目からは5連勝し、12日目終了時点では白熊と獅司とともにトップに並んだ。しかし翌日から連敗し、優勝争いから脱落した。それでも千秋楽は大奄美に勝ち、自身初の二桁勝利となった。

 場所前の6月は出身者である自身との縁で、種子島で部屋合宿を行ったようだ。中学卒業と同時に角界入りしており、地元の方に喜んでもらえたようである。今年3月場所で左ふくらはぎを痛め2場所連続休場していたが、地元でリフレッシュして本場所を迎えた。

 内容に関しては番付が下がったのもあるが、モロ差し速攻の相撲が取れていた。初日の獅司戦は獅司が右上手を狙いに来るところを左を深く差し、右はおっつけながら前に出て寄り倒した。6日目の伯桜鵬戦は当たってすぐに左を深く差すと右は差せなかったものの上手を取り、右から投げを打つような形で寄り切った。そして千秋楽の大奄美戦は当たってすぐに右を差すと大奄美は左上手を取った。焦点は島津海の左と大奄美の右である。どちらも差し身が良く、激しい差し手争いとなった。しかし大奄美が差して寄ったところで島津海が左を巻き替えた。そして土俵際まで寄り詰められたが左掬い投げで大奄美を横に向かせ、そのまま送り出した。本人はモロ差しには絶対の自信を持っており、持ち味を存分に発揮していた。

 また身長175センチと背は低く、手足も短いのでちょっとしたことで不利な体勢になることがよくある。幕下以下でも6勝以上の大勝ちはほとんどなく、自分の相撲に徹する中で勝ち越しを目指すタイプである。その中での二桁勝利は立派と言える。

 9月場所は西十両14枚目となったがまずは勝ち越し、できれば幕内復帰といきたい。スピードは幕内でも通用しており、次なる目標は幕内定着である。そしていずれは平幕上位に番付を上げ、上位力士を倒すような存在になって欲しい。