賢い男! 阿武剋 来歴

 5月場所は新十両ながら13勝2敗とハイレベルな成績を挙げ、実績のある若隆景、遠藤と優勝争いを演じた。7月場所は西十両筆頭となり、新入幕が目前という番付となった。また先場所初優勝を飾った大の里は日体大時代の同級生である。実績もあり、大の里を追いかける立場となる。それでは阿武剋を紹介したい。

 阿武剋はモンゴル・オブス県出身で阿武松部屋所属であり、年齢は24歳である。また身長184センチ、体重160キロであり、右四つ・寄りを得意としている。

 モンゴルでは小1から小5までサッカーをし、中3から来日前まではレスリングとモンゴル相撲に打ち込んだ。そして15歳で来日して新名学園旭丘高校に入学し、相撲を始めた。二年次に関東大会無差別級で優勝し、三年次には全国高校総体で準優勝となった。高校卒業後は日本体育大学に進学し、四年次に全国学生相撲選手権大会で優勝して学生横綱のタイトルと、大相撲の幕下15枚目格付出の資格を獲得した。

 大学卒業後は大相撲に入門することを大学三年次に志し、2022年末から阿武松部屋で研修を開始した。そして2023年9月場所前に正式に入門し、同場所の新弟子検査で合格した。「阿武剋 一弘」という四股名は、部屋から「阿武」を取り、自分自身に打ち克つという意味で「剋」を付けた。また下の名前は、高校の恩師の岸田光弘監督と大学の恩師の齋藤一雄監督から一字ずつ取り、組み合わせた。興行ビザの取得を待って翌11月場所で初土俵を踏んだ。また同年9月30日の理事会で付出資格が改定されたことに伴い、幕下付出は最下位格(60枚目)に一本化された。よって旧制度の幕下15枚目格付出として初土俵を踏む最後の力士となった。

 初土俵から5勝、6勝を挙げると2024年3月場所は新十両が目前の西幕下2枚目まで番付を上げた。そしてこの場所は5勝2敗で勝ち越し、場所後の番付編成会議で5月場所での新十両が決定した。そして先述の通り5月場所は13勝をマークし、力の違いを見せた。14日目は若隆景に敗れたことが響いて優勝は逃した。しかし経験の違いを見せつけられた内容であり、これは仕方がない。また右四つの相撲には安定感があり、全力を出し切っての相撲には見えなかった。上を見据えて相撲を取っており、大物感が漂っている。

続く