2021年の大相撲を占う その5

・小兵力士、軽量力士の活躍

 ここ数年で目立つのが小兵力士、軽量力士の活躍である。1月場所は炎鵬が十両に陥落したが、代わりに翠富士が新入幕を果たした。翠富士は静岡県焼津市出身で伊勢ヶ浜部屋所属である。身長171.5センチ、体重114キロであり、押しと肩透かしを得意としている。年齢は24歳である。

 初土俵は2016年9月場所である。面白いのが同じく近畿大学を中退した錦富士と同学年であり、同時期に同じ部屋に入門しているという点である。師匠の伊勢ケ浜親方も近畿大学を中退して角界入りしており、境遇が似ているというのも入門の決め手になったのかもしれない。ちなみに錦富士も十両に昇進しており、現在は幕下である。

 私は幕下時代から観てきているが、当初は動きが機敏だった一方、体重は90キロくらいしかなく、その部分で十両に上がれるとは思っていなかった。しかし一昨年あたりから急速に力を付けた。押す力が増すと同時に体重も増えてきた。また増量したことで技の選択肢も増えたと本人が語っている。新十両の場所は負け越したものの11月場所は十両優勝を果たし、十両を4場所務めての新入幕となった。

 小兵力士ではあるが、体重が増えれば番付を上げても面白い存在になると思う。同部屋の小兵力士の照強のほうが腕力は上である。しかし懐に入るスピードや横の動きは翠富士のほうが上回っている。持ち味は違うが同部屋なので稽古をしながら切磋琢磨して強くなってほしい。

続く