2024年5月場所個別評価 明生

 今場所は西前頭5枚目だったが10勝5敗の好成績だった。前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は役力士との対戦もあったが12日目に大栄翔を突き出しで破り、勝ち越しを決めた。そして千秋楽は勝てば敢闘賞受賞の湘南乃海を寄り切り、3年ぶりの二桁勝利となった。

 内容に関しては相手の懐に入って攻める相撲と左右へいなす相撲を織り交ぜ、本来の相撲が取れていた。勝ち越しを決めた大栄翔戦はいなされた後押し込まれたものの腰を落として残し、右ハズ押しで起こすと突き立ててそのまま突き出した。大栄翔の攻めをよく凌いでおり、今場所の好調ぶりを象徴するような一番だった。湘南乃海戦は当たってすぐに左を深く差すと右もおっつけながら廻しを取り、一方的に寄り切った。明生は三役経験者であり、格の違いを見せつけた。ちなみに今年1月場所の千秋楽も同じく勝てば敢闘賞受賞だった島津海を破っている。明生は新入幕力士や若手力士が簡単に勝てる相手ではない。よって今後も勝てば三賞受賞という若手力士に明生をぶつけるということがあるかもしれない。

 一方勿体無かったのが13日目の阿炎戦である。阿炎のもろ手突きを下からあてがった後押し込み、二本差して一気に寄ったものの、阿炎の右からの突き落としで裏返しにされた。阿炎の粘りを褒めるべき内容ではあるが、もう少し体を寄せていれば逆転負けは食わなかったかもしれないと思わせる一番だった。

 7月場所は上位総当たりの番付となるが、結果以前に明生は実力者であり、常にこの位置にいなければいけないと私は思っている。体の動きも戻ってきており、復調気配がうかがえる。ということで三役復帰は勿論、三役定着を期待したい。