2024年3月場所個別評価 大栄翔
今場所は6勝9敗で負け越した。3連敗スタートも4日目からは3連勝し、前半戦は4勝4敗で折り返した。しかし後半戦は星が伸びず、13日目は大の里に叩き込みで敗れて負け越した。そして千秋楽は平戸海に敗れて9敗となり、来場所の平幕転落が濃厚となった。
内容に関しては勝った6番の内引き落としが3番、突き落としが1番であり、土俵際で引いて勝った相撲が目立った。一方大栄翔らしいのど輪押しからの一気に前に出る相撲はほとんど見られなかった。また叩かれて負けた相撲だけでなく押し合いで負けた内容も多く、その点で物足りなさが残った。
三役の座を7場所守ってきたことは立派だと思うし、また実力がなければできないことである。ただ逆転優勝を許した去年の3月場所を境に馬力が低下し、その分を相手を見ながら相撲を取るなど安定感で補ってきた印象がある。しかし一気に前に出る相撲を取らなければ大関昇進は見込めない。大関に向けて頑張ったものの力が尽きたという感じもする。負け越しが決まった大の里戦はあっさりとした内容で負けており、世代交代と見られてもおかしくないところである。
さて5月場所は平幕となりそうだが、おそらく東筆頭になるものと思われる。勝ち越せばほぼ三役に復帰できる位置である。また長らく三役の地位を守ってきた力士の平幕陥落に関しては、1月場所で東筆頭に陥落した若元春と状況が非常によく似ている。そして1月場所の若元春は10勝5敗の好成績であり、横綱を破ったということで殊勲賞を受賞している。よって1月場所の若元春のような活躍を期待したい。また一場所で三役に復帰できなければ大関はおろか三役復帰も厳しくなると思うので強い覚悟を持って臨んで欲しい。
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