琴ノ若は横綱になれるのか? 所属する佐渡ヶ嶽部屋の元大関との比較 その2
琴欧洲はブルガリア出身であり、レスリングを経て相撲に打ち込み、スカウトされて来日し、入門した。身長202センチ、体重155キロと体格に恵まれていた。また手足が長く、懐の深さを活かした四つ相撲が持ち味だった。そして大関獲りに3回失敗した琴光喜を間近で見てきており、ワンチャンスでつかまなければならないという思いが強くなっていた。その1回のチャンスをモノにし、2006年1月場所に大関に昇進した。入門から僅か19場所での昇進であり、幕下付出を除けば史上最速であった。
当然ながら横綱への期待が高まった。しかし怪我に泣かされた。特に右膝に不安を抱えていたことが昇進を阻んだ。またプレッシャーに弱い部分もあった。ヨーロッパ出身の力士は全体として感情の起伏が激しい印象が強い。それが相撲に表れることもある。一方モンゴル出身の力士は性格的に図太い力士が多く、現時点では大関止まりだった力士はいない。改めて横綱に上がるのは大変なことである。
琴奨菊はがぶり寄りの相撲を得意としていたが、体格に恵まれていた訳でもなく、かといって多彩な技を持っていた訳でもない。それでも大関獲りまで駒を進め、2011年11月場所に大関に昇進した。私が記憶している中では大関昇進に関しては琴奨菊が一番驚いた。才能ではなく、努力で運を引き寄せた印象が強い。大関在位32場所は立派だが優勝回数は1回であり、上を目指せる大関だったとは言えない。
そして四人と比べても琴ノ若は体が大きい上に柔らかい。あとは怪我さえしなければまだ成長が見込める力士である。琴光喜ほどの相撲センスは備えていないが、それを除けば精神面を含めて四人よりも能力が高いと私は思っている。また父が師匠ということで佐渡ヶ嶽部屋で育っている。よって琴風を除いた三人は近くで見てきており、地位に戸惑うということはなさそうだ。
続く
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