2024年1月場所を振り返って 優勝争い 12日目 照ノ富士ー大の里戦

 12日目の主役も優勝争いからは一歩後退したものの、大の里だった。対戦相手は照ノ富士である。これで10日目からは関脇、大関、横綱との対戦となった。これは成り行きではなく、審判部がシナリオを作ったかのような取組編成となった。同じく平幕で好成績だった阿武咲も役力士との対戦となり、結果として付き合わされる形となったのが少し気の毒である。また阿武咲と大の里が横綱と対戦したことで照ノ富士と大栄翔の取組が消滅した。先場所は割崩しで霧島と豊昇龍の一番がなくなったのが問題となった。それに比べたら横綱と関脇の取組なのでマシではあるのだが・・・。

 さて注目の照ノ富士と大の里の一番は大の里が体当たりをするも横綱は左前廻しを取り、右も差して大の里の動きを止めた。それでも大の里は馬力があるので右を差し、左はおっつけの形で強引に前に出た。しかし照ノ富士は待ってましたと言わんばかりに体を開き、左からの上手投げで大の里を仕留めた。大の里は力の違いを見せつけられた格好だが、思い切ってぶつかっており、現在の自分の実力が分かったのではないだろうか。それでも新入幕で横綱と対戦するのは10人目であり、対戦できるだけで名誉なことである。また審判部が実力を高く評価している証拠であり、期待の表れでもある。今後の成長が楽しみである。

 一方照ノ富士の調子が上がってきた。そして本来の力強い相撲が戻ってきた。また大の里の台頭を喜ぶ余裕さえ見せた。追う立場ではあるものの、終盤に向けて心身ともに充実してきた印象である。

 他の優勝争いの3人も揃って勝ち、11日目と状況が変わらないまま終盤戦に突入した。残り3日は番付上位4人によるサバイバルであり、直接対決である。優勝争いに加えて霧島は綱取りが懸かっており、琴ノ若は大関獲りと初優勝が懸かっている。また優勝経験のない琴ノ若が単独トップというのも面白い状況である。そして久しぶりに役力士によるレベルの高い優勝争いとなった。

続く