祝! 美ノ海新入幕 弟・木崎海について

2024年2月4日

 そして忘れてはいけないのが弟・木崎海の存在である。既に引退しているが、美ノ海の2つ年下であり、同じく日大出身で2018年3月場所に三段目100枚目格付出で初土俵を踏んだ。そして三段目は二場所で通過。幕下では一場所負け越したもののそれ以外は勝ち越すなど順調に出世し、2019年7月場所に新十両となり、美ノ海と合わせて史上21組目の兄弟関取になった。また美ノ海に次いで沖縄県からは戦後6人目となる新十両となった。

 新十両の場所は7勝8敗で負け越したものの翌9月場所は千秋楽に勝って関取になって初の勝ち越しを決めた。次の11月場所は10勝5敗と二桁勝利を挙げ、2020年1月場所は新入幕の見える西十両3枚目まで番付を上げた。しかし6日目の勢戦で頭から土俵下に落ちて首を負傷するアクシデントに見舞われた。この場所は初日から連敗していたが7日目以降も相撲を取り続け、結局3勝12敗と大きく負け越した。その後も二場所連続で負け越すと同年8月27日、日本相撲協会は木崎海の引退を受理したと発表した。慢性的な首の痛みが原因であり、手にもしびれが及んでいたという。相撲を取れる状態ではあったが頭からぶちかます相撲は取れず、中途半端な状態で相撲を取るべきではないと自ら判断し、決断した。25歳の若さでの電撃的な引退に角界にも衝撃が走った。

 木崎海は身長174センチ、体重152キロであり、体は兄の美ノ海より一回り大きかった。またぶちかましてからの押し相撲を得意としていたが、押し相撲と言っても叩きやいなしを得意としている力士が多い中で引き技は滅多に見せず、愚直に押していた印象が強い。正攻法の押し相撲は相撲関係者の評判も高かった。そして自己最高位で迎えた場所は美ノ海は十両下位の番付であり、兄より番付は上だった。その木崎海が突然の引退ということで美ノ海も衝撃を受けたのは容易に想像できる。今思えばアクシデントがあった勢戦だけでなく、立ち合いから頭でぶちかます相撲がほとんどだったので疲労の蓄積もあったものと思われる。改めて大相撲の世界は厳しいと痛感した次第である。

続く