2025年11月場所個別評価 大の里
今場所は11勝4敗という成績だった。2日目は2連敗中の伯桜鵬を寄り倒しで破ると負けることが多かった4日目は霧島を叩き込み、中日勝ち越しを決めた。しかし後半戦は10日目に義ノ富士に不覚を取ると11日目は隆の勝に敗れて連敗し、優勝争いで豊昇龍と安青錦に並ばれた。その後は持ち直したかに見えたが14日目は琴櫻にあっさりと寄り切られて3敗目となった。立ち合いから本来の相撲が取れておらず気掛かりだったが、千秋楽は左肩を痛めたため休場というまさかの結末となった。
内容に関しては前半戦は圧倒しており、このまま独走するかに見えた。8日目の玉鷲戦は右のど輪、左おっつけで押し込まれたものの、左へ回り込んでの叩き込みで辛うじて凌いだ。
問題は後半戦である。義ノ富士戦は義ノ富士が上手く相撲を取った印象であり、気持ちさえ切り替えればといった相撲だった。おかしいと思ったのは翌日の隆の勝戦である。隆の勝の右のど輪に右膝が入る形になり、土俵に這った。時に負けることはあっても、こんなに脆く崩れ落ちた大の里は観たことがない。負けたこと以上に負け方に驚いた。体の使い方が明らかにおかしかった。翌日からは連勝したものの表情はさえず、気合満点の豊昇龍とは対照的に見えた。琴櫻戦は既に左肩を痛めており、語る部分ではない。
それではなぜこのような結果になったのか?。原因は調整法だと思っている。綱取りを果たした5月場所前は「初日の入り、前半戦が大事だと思うので、しっかりと気持ちを整えて」と語っている。そしておそらく調整の仕方は5月場所とほぼ変わっていないと思う。確かに上を目指す立場なら取りこぼしはできないという気持ちはよく分かる。しかし今は横綱である。堂々と受けて立つ立場である。そして今場所は単純に前半戦に体調のピークが来て、後半戦は調子が落ちていったということだと思っている。15日間好調を保つのは過去の横綱を見ても至難の業である。千代の富士、白鵬といった大横綱も前半戦はぼちぼちといった内容で白星を重ね、終盤に向けて尻上がりに調子を上げて優勝するというパターンが多かった。結果は出ていないものの、その点に関しては豊昇龍の方が15日間を考えた調整ができているように私には見える。簡単に言えば15日間完璧に相撲を取ろうとするのではなく、多少のいい加減さがあってもよさそうな気がする。
来場所は左肩をしっかり治した上で臨んで欲しい。また今場所の結果は大横綱に向けての通過儀礼だと思っている。この経験を次に生かしたい。そして今度は滅法得意としている東京場所である。巻き返すことは勿論、優勝という結果を求めたい。
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