2022年5月場所を振り返って 優勝争い その6 

 そして隆の勝が負けたので大栄翔が勝てば照ノ富士次第で優勝の可能性が出てきた。志摩ノ海戦だったが相撲は突いて前に出たが下からあてがわれた。そして引いた時は少し危ないかに見えたが何とか左に回り込んで叩き込んだ。引く前にのど輪で押し込んでおり、その分間隔が空いたので引き技が決まったという感じである。優勝争いに残れたのは大きいが、それよりも三役で11勝を挙げたことの方が大きい。確かに今場所の相撲内容で大関昇進へアピールできたとまでは言えない。しかし来場所ハイレベルな成績を残せば大関獲りの可能性が出てくる。来場所につなげるという意味でこの1勝は大きかったと私は見ている。またこの1勝が意味のあるような好成績を来場所残したいところだ。

 最後は照ノ富士が登場。御嶽海戦だったが相手は怪我持ちである。大関とはいえ、期待できる状況ではない。相撲は立ち合いから左廻しを取り、相手の動きを止めると右前廻しを取ったと同時に一気に寄り切った。優勝決定戦が、という言葉を使うこともはばかられるくらいの一方的な相撲内容だった。さすがは横綱である。前半戦は3敗したものの、後半戦は全て白星を並べ、最後は優勝という形で土俵を締めた。また先程触れたが、安治川親方の引退相撲を前に「優勝して花を添えたい」と言っていたらしい。そして照ノ富士だけではなく、千秋楽は伊勢ヶ浜部屋の関取衆6人が全員勝っており、チームとなって部屋を盛り上げた。そして照ノ富士に関しても前半戦の相撲内容からよくここまで盛り返したと思う。部屋付きの専属トレーナーによると前半戦は上半身と下半身の動きがバラバラだったのが、後半戦は上手く連動できるようになってきたとのことである。いずれにしても膝の状態は良くなく、ギリギリの状況なのは間違いない。そう考えると安治川親方のために頑張っての優勝とも言える。大関がだらしない中、一人横綱としての役割を果たしたのは成績以上に評価していいと思う。  

終わり